ベスト👍 ノンフィクション
『ヒロシマ 消えたかぞく』
指田和 著
鈴木六郎 写真
ポプラ社 刊
2019年7月 発行
本体1650円+税
40ページ
対象:小学校中学年以上

戦争で命を落とした家族の、確かに生きていた記録

広島平和記念資料館を訪れた著者が目にしたプロジェクタに写し出された一家の記録写真。これに衝撃を受け、多くの人に知ってほしいとの思いで本書は出版されました。

六郎さん、フジエさん、そして英昭くんと公子ちゃん、護くん、昭子ちゃんの一家は昭和20年8月6日、一発の原子爆弾が広島に落とされて全滅したそうです。六郎さんは写真が好きで、家族の日常を日々撮っていました。どれも笑顔があふれ、そこには幸せな風景がありました。それが、ほんの一瞬で消えてしまったのです! たぶん同じような家族の姿がたくさんあったことでしょう。それを一発の爆弾が壊した――このことを忘れてはいけないと思います。

当たり前の日常がろうそくの灯を消すように、消えてしまう。それが戦争なのだと改めて思いました。
幸せそうな笑顔があるからこそ、この消失感は重くのしかかります。

世界のどこかでは、この六郎さん一家と同じような人たちが今もいるのかと想像するとき、人の愚かさを思います。(す)

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