ベスト👍 ノンフィクション
『山をつくる 東京チェンソーズの挑戦』
菅聖子 著
小峰書店 刊
2020年12月21日 発行
本体1500円+税
203ページ
対象:小学校高学年から

現代のきこりたちの活動を徹底取材! 林業の未来への展望!

東京というとビル群のイメージが強いかと思いますが、なんと森林面積が36パーセントもあるのだそう。実に3分の1は森や山ってことです。
そんな東京で「きこり」として働いているのが本書で描かれる「東京チェンソーズ」の人々です。

まず率直な感想として彼らの働く姿は「かっこいい!」。
汗をかき、日が沈んだらその日の仕事は終わりって、とっても人間的な気がしました。
山の仕事は季節によってさまざまだそうです。春は苗木を植え、夏は下草を刈り、秋冬は間伐、枝打ちなど。
四季折々の仕事ぶりが丁寧な取材のもと紹介されています。どれも大変そうですが、おもしろそうでもあります。
それは彼らの仕事への姿勢のせいなのかもしれない、と思いました。

なかでもとっても印象深く、心に残った言葉があります。
「苗木を植えてから収穫まで長い時間がかかることのたいへんさは、逆にいえば、長い時間をかけられるということです。30年、50年という長いスケールでなにかを考えることって、ふつうはなかなかありませんよね」
「~森に興味がある人たちに30年や50年の林業の長い時間を、楽しみながら感じてもらおうと思ったんです。自分で木を植えて、手入れしながらその木が少しずつ大きくなって、つぎの世代に引き継がれていく。『自分のため』にでもいいけれど、それが『環境のため』になったり『未来の人たちのために』なったりすることも、林業のおもしろいところだと思います」

なるほど! 現代のわたしたちの暮らしのなかでは確かに先を見通して生きることは難しいかもしれませんね。目先のことにとらわれずに生きていく姿に感動しました。
社会に出ていく前の若い人たちに読んで、何かを感じてほしいと思いました。もちろん、すでに働いている大人にも!
暗いニュースばかりの昨今ですが、未来は明るい、と少し希望を持てました。(す)

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