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『かあさんうさぎと金のくつ』
デュボース・ヘイワード 作
マージョリー・フラック 絵
いしぞねりえ 訳
徳間書店 刊
2022年3月 刊行
定価1,870円(税込)
80 ページ
対象:小学校低学年から

おまえさんは、かしこくて心やさしく、だれよりもゆうかんな、 イースターうさぎだ。

茶色いワタオウサギのフワフワは他のこうさぎみんなと同じように、大きくなったらイースターうさぎになって世界中の小さな男の子のや女の子にイースターエッグを届けてまわることが夢でした。大人のうさぎたちはそんなフワフワを馬鹿にして笑いましたが、フワフワは「いまに見てなさい!」と言い返すのでした。
大人になったフワフワは21匹のこうさぎのお母さんになって、子育てに大忙し。ある日、お城で新しいイースターうさぎが選ばれると聞いたフワフワは、大きくなった子どもたちを連れて見物に出かけることにしました。見栄えがよくて足の速いうさぎたちが自分の力を見せびらかす中で、賢くて心優しい長老うさぎが声をかけたのは、21匹のこうさぎを連れたフワフワだったのです。

イースターうさぎにふさわしいのはただ足が速いだけのうさぎではなく、賢くて心優しく思いやりのあるうさぎです。21匹の元気なこうさぎたちを機嫌のよい、幸せな子に育ててきたフワフワは、誰よりもイースターうさぎにふさわしいといえるでしょう。だからこそ長老はフワフワに、一番大切な仕事を任せたのです。雪の積もった高い山のてっぺんに住む病気の男の子のために、疲れ切ったフワフワはダイヤモンドのように輝くたまごを抱え、最後の力を振り絞って山を登ります……。

アメリカの作家で詩人のデュボース・ヘイワードが娘に語って聞かせていた話を、家族ぐるみで付き合いのあった友人のマージョリー・フラック(『おかあさんだいすき』『アンガスとあひる』の作者)が本にするように勧めたことで生まれた作品です。もともと絵本だったものが今回、読みやすい物語の形で復刊されました。
イースターのお話ではありますが、時期を限る必要はありません。一人一人のうさぎたちの姿がかわいらしくまた美しくて、物語の根底を流れる「善きもの」と同様、子どもたちの心にもきっと忘れがたい印象を残すことでしょう。(か)

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