クラウス・コルドンのベルリン3部作、かつて理論社で出版され品切れになってしまったこの本が岩波少年文庫に入りました! 第1部の『ベルリン1919』が今月、第2部『ベルリン1933』が4月、第3部『ベルリン1945』が6月に出て完結の予定です。
パッと見たところこれまでの少年文庫とは違った装丁で、新しい顔になった感じ。オビは話題作『ベルリンは晴れているか』の著者・深緑野分さんが書いています(すごーい!)。これで新しい読者を開拓できたら嬉しいな!
激動の20世紀前半、第1部の本書はちょうど第1次世界大戦が終了した頃のドイツが舞台で、主人公は貧しい労働者ゲープハルト家の長男13歳の少年ヘレです。時代の転換期を描いた3部作を貫くのは、時代の荒波に飲まれながら必死に生きるゲープハルト家の人々――私たちは歴史上の出来事として当時何があり、社会がどうなっていくのかを知っていますが、渦中の登場人物はそのような視点を持ちません。彼らの生きる姿は「もし自分がそこにいたら……」と読者に想像させ、様々なことを考えさせます。上下巻合わせて750ページにもなる大作ですが読み始めたら止まらない面白さ! まだ読んだことのない方はぜひ少年文庫で出合ってください。

『ベルリン1919(上・下)』クラウス・コルドン作/酒寄進一訳/岩波少年文庫 各1200円+税
★「本書は2006年に理論社より単行本として出版された『ベルリン19191』を元にしていますが、原書新版で作品全体の構成が手直しされたため、これに準拠し、訳文も手直ししました。」(下巻の訳者あとがきより) → 前の本をお持ちの方もぜひお買い直しを!