『あのころはフリードリヒがいた』から始まるハンス・ペーター・リヒターの自伝的3部作の後半2作品が、第2次大戦終結から75年になる今年久しぶりに復刊となりました。日本では1977年に刊行された第1巻『あのころはフリードリヒがいた』(原著は1961年)は、岩波少年文庫中の名作として新版でもすでに20刷となっています。
自身が熱心なヒトラー・ユーゲントであった著者が自らの体験を振り返って描いたこの作品は、感傷を廃して事実がどうであったかを描き出していることが印象的です。戦争の被害者でもあり同時に加害者であったことを告白するこの本は、出版当時のドイツの人々に大きな衝撃を与えたと聞いています。翻訳者の上田真而子さんは『若い兵士のとき』のあとがきに「いったん戦争になってその場に立たされれば人の心がどう変わるか、その渦中にあって人間性を失わずにいることがどれほどむずかしいか。そのことが、ここにみごとに描き出されています」と書かれています。過去から学び未来の選択を誤らないために、リヒターの3部作を今こそ読み返したいものです。

『あのころはフリードリヒがいた』『ぼくたちもそこにいた』『若い兵士のとき』
ハンス・ペーター・リヒター作/上田真而子 訳/岩波少年文庫/①700円+税 ⓶760円+税 ③720円+税

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