ベスト👍 ノンフィクション
『食べものから学ぶ世界史 人も自然も壊さない経済とは?』
平賀緑 著
岩波書店 刊
2021年7月20日 発行
定価902円(税込)
181ページ
対象:中学生から

小麦粉、砂糖、油、トウモロコシ……身近な食べものから「資本主義」を解く!

「食べもの」をキーワードにして資本主義経済のからくりを解き明かしていく1冊。資本主義がわたしたちの暮らしにどのようにかかわっているのかが、かみ砕いて書かれています。
コンビニやスーパーなどで、誰もが気軽にどんな食べものでも手にすることができる世の中ですが、この暮らしかたは決して当たり前ではないということが読み終えると感じられると思います。
誰にとっても身近な「食べもの」をとっかかりにすることで、問題がよりリアルに、より緊張感をもって迫ってきます。

資本主義とはすごく平らかにいえば、何でも「商品」にしてしまう仕組みです。経済的効率性を最優先してきたのがこれまでの社会でした。このままでいいのか? と思わずにはいられない、読みっぱなしではいられない本でした。これからどうするかを真剣に考えていく一助になるでしょう。

資本主義からうまれる「食の生産」と地球への負荷の影響の矛盾が見えてきます。
目次をひくと「序章:食べものから資本主義を学ぶとは」「1章:農耕の始まりから近代世界システムの形成まで」「2章:山積み小麦と失業者たち」「3章:食べ過ぎの『デブの帝国』へ」「4章:世界の半分が飢えるのはなぜ?」「5章:日本における食と資本主義の歴史」「6章:中国のブタとグローバリゼーション」「おわりに:気候危機とパンデミック時代に経済の仕組みを考え直す」となっています。資料も的確に提示され、初心者にも読みやすい文体と構成かと思います。

本書の中でも触れられていますが、この本を読破したらぜひ、斎藤幸平著『人新世の「資本論」』(集英社)を大人の方は手にしてほしいと思いました。 (す)

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