→開いてある本は『イギリスのお菓子とごちそう アガサ・クリスティーの食卓』

皆さんは今週月曜日に放送された“グレーテルのかまど”をご覧になりましたが? お菓子にまつわる色々なエピソードを紹介する素敵な番組なのですが、今週はトールキンの『ホビットの冒険』からシードケーキが紹介されました。物語の中では「種入りの焼き菓子」として登場するのが、実はキャラウェイ・シード入りのケーキのこと――イギリスでは16世紀の料理書にも登場するという伝統的なお菓子です。イギリス児童文学の魅力をハーブやお菓子を通した独特の視点で伝えてくださる北野佐久子さんのご本の中にも、シードケーキは度々登場しています。

『物語のティータイム お菓子と暮らしとイギリス児童文学』では、アーサー・ランサムの『ツバメ号とアマゾン号』の中で、子どもたちが無人島で暮らすために積み込んだ食料の中にシードケーキが入っていたことなどが紹介されています。今では時代遅れのお菓子としてイギリスでもあまり見られないそうですが、物語の中に登場するシードケーキは今も読者の憧れをかき立てているのです。
★そういえば『ミリー・モリー・マンデーのおはなし』にも「たねいりケーキ」が出てきますね。あれもシードケーキなのだそうですよ。

北野佐久子さんの本の美しいイギリスの風景とおいしそうなお菓子の写真は、外出自粛で沈みがちな心を躍らせてくれます。北野さんのご本を手掛かりにイギリス旅行の計画を立てるもよし、お菓子を作ってみるもよし、庭仕事に精を出すもよし、もちろん楽しいイギリスの児童文学を読むのはもっとよしです!

●北野佐久子さんの本
『物語のティータイム お菓子と暮らしとイギリス児童文学』岩波書店 1800円+税
『イギリスのお菓子 楽しいティータイムめぐり』集英社Be文庫 880円+税
『美しいイギリスの田舎を歩く!』集英社Be文庫 840円+税
『イギリスのお菓子とごちそう アガサ・クリスティーの食卓』二見書房 1800円+税
『イギリスのお菓子と暮らし』二見書房 1500円+税

★“グレーテルのかまど”再放送は総合毎週金曜日の午前11時5分~、Eテレ毎週月曜日の午前10時25分~