ベスト👍 フィクション
『小さな手 ホラー短編集4』
金原瑞人 編訳
佐竹美保 絵
岩波書店 刊
2022年1月14日 発行
定価836円(税込)
289ページ
対象:中学生から

英米ホラーの傑作選! 初訳、新訳の作品多数収録!!

岩波少年文庫に新たなホラー傑作集が仲間入りです。思えば『八月の暑さのなかで』が刊行されたのが最初でした。改めて調べてみたら、なんと2010年! 今から12年も前のことです。思った以上に前のことで、びっくりです。
今回も編訳は、金原瑞人さん。ヤングアダルト小説やファンタジーに詳しいことで知られていますが、ホラーもお手の物なのです。

『ジャングル・ブック』のキプリングや、『宝島』のスティーヴンソンもこんな話を書いていたのですね。どの話もスリリングで、けっこうじんわりと怖いです。昨今のホラーとは一味違う読後感。
個人的には表題作の「小さな手 ーペティットおばさんの幽霊話」(アーサー・キラ‐クーチ)が気に入りました。単純に怖い、というのではなく味わい深いというか、とにかく「読んで!」です(笑)。
全8作を収録。知っている作家のものも、知らない作家のものも楽しめるのが短編集の魅力。これをきっかけにいろんな作家の作品に触れてみてください。

既刊の「ホラー短編集」と同じく、挿し絵は佐竹美保さんによるもの。これが物語を読み終わって、見返すと「ああ、そうか!」となる絵で、1作につき1枚の扉絵しかないけれど、実にいいのです。絵も一緒に楽しんでほしいな、と思います。

ああ、しかし! 『八月の暑さのなかで』の次に刊行された『南から来た男』が現在、なんと“品切れ重版未定”で、流通しておりません!
なんということでしょう(涙)。岩波書店さん、ぜひぜひ重版してください!! 切なる願いです~。 (す)

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