2012年の8月20日、ジャーナリストの山本美香さんがシリアのアレッポで内戦の取材中に亡くなりました。山本さんは主に世界の紛争地を取材してそこに生きる人々の姿を写真におさめ、私たちに伝えてくれた方です。
なぜわざわざそんな危険な所に行くのかーーそれは私たちに世界で起きている戦争の事実を伝えるためです。命の危険を冒して取材をするのは、そういう場所にも生きている人がいることを私たちが忘れずにいるためなのです。山本さんの残した言葉や写真は、戦争で傷ついた人々の厳しい現実を見ながらも「世界はよい方向にきっと変えられる!」という強い信念に満ちています。日本で日々暮らしているとつい忘れてしまう世界の現実。8月は74年前の戦争について思いを寄せるだけではなく、今この時世界のどこかで起こっている戦争について考える機会にしたいものです。

「平和な世界は、たゆまぬ努力をつづけなければ、あっという間に失われてしまいます。(中略) 世界は戦争ばかり、と悲観している時間はありません。この瞬間にもまたひとつ、またふたつ……大切な命がうばれているかもしれないー目をつぶってそんなことを想像してみてください。」(『戦争を取材する』より)

『戦争を取材する 子どもたちは何を体験したのか』山本美香著/講談社 1200円+税
『これから戦場に向かいます』山本美香文・写真/ポプラ社 1600円+税