え? 『たくさんのお月さま』って前から出てた本じゃないの?と思いますよね。実は以前出ていたのは原書と同じサイズで横書きの絵本タイプだったのですが、それがこの度縦書きの幼年童話(物語タイプ)に新しく作り直されたのです。開きも反対になったのでちょっと印象が変わったかもしれません。以前の原書と同じの大きな版型も魅力的だったのですが、やはり文章が長い(過ぎる!?)と絵本としては読まれないという事情もあったようです。私も古い人間なので(笑)、長い横書きを読むよりは縦書きで読むほうが楽だったりしますが……。絵本から挿絵たっぷりの読み物になったことは評価の分かれるところではあると思いますが、何よりこのお話が消えてしまわないで新しくよみがえったことを嬉しく思います。

『物語 たくさんのお月さま』ジェームズ・サーバー作/ルイス・スロボドキン絵/なかがわちひろ訳/徳間書店 1700円+税