2011年から刊行されている童心社の“日・中・韓平和絵本”シリーズの最新刊が発売されました。中国の作家・岑龍作『父さんたちが生きた日々』(2500円+税)です。
1912年海南島に生まれた一人の青年が苦学をしながら日本の大学院で人類学を学び、そこで知り合った日本人の山本青年と兄弟のように仲良くなります。しかし、戦争が二人を引き裂き青年は祖国・中国に帰国、山本青年は南方戦線で命を落としました・・・。
これが実話かそうでないかを問うことは、あまり意味がないような気がします。こういった戦争による悲劇は、このお話の通りでなくてもきっとあったに違いないからです。国籍の違いを超えて一人ひとりは友情を結び、分かり合うことができるのに、国家がそれを許さない――それが、戦争なのです。主人公の青年は祖国で抗日運動に身を投じますが、山本青年への思いは変わることはありませんでした。最後の山本青年のお母さんから、主人公の青年に宛てた手紙は、涙なくしては読めません。「戦争は絶対にダメ!」その思いを強くする1冊です。
『父さんたちが生きた日々』岑龍作/中由美子訳/童心社 2500円+税
★日・中・韓平和絵本シリーズの関連講演会を7/2(土)に開催します。講師は第1作の『へいわって どんなこと?』の著者・浜田桂子さんです。