第1作目の絵本『シャクルトンの大漂流』(日本では2016年10月に岩波書店から出版)が、ケイト・グリーナウェイ賞を史上最年少で受賞したウィリアム・グリルの2作目の絵本が出ました。前作のブルーのイメージを一新する赤い表紙は、あの有名なシートン動物記の「オオカミ王ロボ」を描いたものです。
人間により住処を追われていったオオカミ(ロボ)とハンター(シートン)の生き残りと誇りをかけた闘いは熾烈を極めました。お互いが智恵と力の限りを尽くした戦いは、最後にシートンの勝利に終わります。でもそれは決してシートン自身を喜ばせるものではありませんでした。彼はロボの死後、人間と野生動物が共に暮らす世界を創るために様々な活動を続けていったのです。子どもにも分かるやさしい言葉と、多くを語り過ぎない抑制の効いた文章に、少ない色使いの細かさと大胆さを兼ね備えた絵が魅力的です。子どもにも大人にも楽しんでいただける絵本だと思います。
★ナルニア国では『カランポーのオオカミ王』のパネル展を11月から店内で行います。ぜひ見に来てください!

『カランポーのオオカミ王』ウィリアム・グリル 作/千葉茂樹 訳/岩波書店 2000円+税