ayase genbaku
今日は8月6日、広島に原爆が投下された日です。7月の岩波ジュニア新書と岩波文庫でも、ヒロシマに関連する新刊が2点でました。そのご紹介です。
1冊は『綾瀬はるか「戦争」を聞くⅡ』――2013年の第1弾に続いて、今回も女優の綾瀬はるかさんが戦争体験者の元を訪れました。2巻目ではヒロシマとナガサキ、そして遠く奄美の地に被爆者を訪ねた記録となっています。実際に戦争を体験した世代が次々と鬼籍に入り、私たちはその声を聞く機会を急速に失いつつあります。辛い記憶に寄り添うことは、聞き手にも相当の覚悟が必要となることと思いますが、若い世代を代表して綾瀬はるかさんがその重い責任を果たしていること、そしてそれがこうやって本になり多くの人の手に渡ることは、とても大きな意味があると思いました。
もう1冊は峠三吉の『原爆詩集』です。「ちちをかえせ ははをかえせ」で始まる“序”はあまりにも有名ですが、全文をきちんと読んだことはありませんでした。この詩によって見えてくるものは、あまりにも悲惨で決して許すことのできないものです。核爆弾によって何がもたらされたか、そこから目をそらしてはならないと改めて感じます。また、あわせてこの詩集に収められた二つの解説(大江健三郎:『原爆詩集』を読みかえす、アーサー・ビナード:日本語をヒバクさせた人)は、これも読む価値あり!文学の持つ力を再認識するすばらしい解説です。

『綾瀬はるか「戦争」を聞くⅡ』TBSテレビ「NEWS23」取材班編/岩波ジュニア新書 920円+税
『原爆詩集』峠三吉作/岩波文庫 480円+税