iwantokouma

岩波少年文庫2月の新刊は、エルショーフの『イワンとふしぎなこうま』です。以前『せむしの小馬』として少年文庫にあったものが、訳と題名を変えて、新しく刊行されました。プーシキンなどからも高く評価をされたという、ロシアの詩物語の名作――以前は普通の散文だったような気がするのですが(ちがったらゴメンなさい!)、新しい訳ではまさしく“詩”の形で翻訳されています。「いくつもいくつも 山をこえ/いくつもいくつも 森をこえ/いくつも うなばらわたった そのかなた……」と始まる最初から、リズムのある文章にぐいぐい引き込まれます。ロシアの昔話に覚えのある人は、イワンの奇想天外な冒険の中に懐かしい昔話のあれこれを思い出すことでしょう。黙々と読むよりは、声に出して読んでみたくなる、ロシア児童文学の古典をお楽しみください。

『イワンとふしぎなこうま』ピョートル・ルショーフ作/浦雅春訳/岩波少年文庫 680円+税