岩波少年文庫は今年創刊70周年を迎えます。ナルニア国では2020年中、どこかで少年文庫の企画展を行う予定ですので、どうぞご期待ください!
1月の新刊はフィリパ・ピアスの『まぼろしの小さい犬』です。『トムは真夜中の庭で』がファンタジーの傑作とすれば、こちらはリアリズムの傑作。残念ながら『トム』ほどには読まれていない気がしますが、少年文庫入りを機会に子どもだけでなく大人の方にも手に取っていただけることを願っています。私は小学生の頃、学校図書館にあったこの本を読みましたが、正直ピンと来ずよくわからなかった……という記憶があります(汗)。それ以来読み返すことはしていなかったのですが、今回作家の小川洋子さんのあとがきを読んで、もう一度読み直したい気持ちになりました。多数ではないかもしれませんが、この本に出合って心を動かされる子どもがきっといるはず。新しい少年文庫が、ぜひそういった子どものところに届きますように!

『まぼろしの小さい犬』フィリパ・ピアス作/猪熊葉子訳/岩波少年文庫 760円+税