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『名探偵カッレ 地主館の罠』
アストリッド・リンドグレーン 作
菱木晃子 訳
平澤朋子 絵
岩波書店 刊 
2020年4月 発行
本体2,100円+税
286 ページ
対象:小学校高学年以上

カッレたちの夏休みといえば、それはもちろん、バラ戦争!

夏休み、白バラ軍のカッレ、アンデッシュ、エーヴァロッタは、赤バラ軍3人との戦争に明け暮れていた。ところが、町中がのんびりと昼寝をしているようなのどかなスウェーデンの田舎町、大事件など起こりそうもないこの町で、ある日恐ろしい殺人事件が発生する。そして、犯人を目撃したエーヴァロッタの身にも危険が迫り……。名探偵カッレの推理が光る!

伏線の張り方、犯人の心理描写、どれをとっても本格推理小説といって差し支えない見事な展開ですが、この物語がただの推理小説に終わっていないのは、リンドグレーンが子どもたちの生き生きとした夏休みを殺人事件と同じ比重で描き切っているからでしょう。
<大草原>を舞台とするバラ戦争の臨場感は、謎解き以上のの興奮で読者をワクワクさせますし、文章の端々に現れる著者のユーモアは菱木さんによってテンポのよい日本語に翻訳され、スリルと友情の夏を存分に楽しませてくれます。(か)

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