limberlost
昔懐かしい村岡花子さんの本が、装いも新たに出版されました。以前、角川文庫から赤いチェックの表紙で出ていたのをご記憶の方もいらっしゃるかもしれませんが、ずいぶん長いこと品切れになっていたジーン・ポーターの『リンバロストの乙女』が、この度河出書房新社の文庫に入ったのです。同じポーターの『そばかすの少年』が光文社古典新訳文庫から新訳で刊行されたとき、「どうして姉妹編のリンバロストは出ないのかしら」と思っていたのですが、嬉しいことに“花子とアン”効果で、新装版刊行となったようです。
ナチュラリストでもあった作者の面目躍如といったこの作品は、母と娘の葛藤に美しい自然の描写が絡んだとても感動的な作品です。虫(蛾)がもう一人の主人公というくらい重要な役割を果たすのですが、虫が苦手な私も思わず「そんなに珍しい美しい蛾なら見てみたい」と思ってしまったほど。主人公エルノラの賢さとまっすぐな性格を、きっと村岡さんも愛したのだろうなと思います。ぜひこの夏、エルノラと一緒に美しいリンバロストの森の空気を堪能しましょう!