ベスト👍 絵本
『たびするてんとうむし』
イザベル・シムレール 文・絵
石津ちひろ 訳
岩波書店 刊
2022年2月25日 発刊
定価1,980円(税込)
50ページ
対象:幼児から

田園を渡る風に乗って、産卵場所を探しにーー

『あおのじかん』(岩波書店)で豊かな色彩感覚と類稀なる画才を見せつけたフランスの絵本作家イザベル・シムレールの最新刊は、緑広がる田園を舞台にてんとうむしが産卵場所を探すというストーリー。
表紙をめくると、葉っぱの上に生みつけられた卵から1匹のてんとうむしがかえって飛び立つまでが見開き2ページに渡って描かれています。添える言葉を最小限にとどめたレイアウトはこれから始まる壮大な旅の助走となって読者を引きつけます。
ゆっくりページをめくると絵本の扉が。いよいよ、てんとうむしの冒険が始まります。

てんとうむしは安心して卵を産める場所を見つけようとあちらこちらを飛び回ります。ところが、どこへ行っても別のむしたちに邪魔者扱いされてしまいます。それというのも擬態したハナカマキリやキリギリスやヒロバカレバたちは、てんとうむしから見ても完璧に花や葉っぱに紛れてわからないのです。
さて、てんとうむしは産卵にぴったりの場所を見つけられるでしょうか?

ページをめくるたびに、虫たちの鮮やかな色や田園を渡る風のかぐわしさがこぼれんばかり。眺めているだけで心が晴れ晴れとします。
グリーンを基調とした本書は折丁をかがる糸にもグリーンを使っており、その極めて美しい製本は宝石箱のよう。スペースが許せば棚ざしではなく表紙を見せて飾ってほしい絵本です。 (い)

 

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