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ナルニア国スタッフも大好きで「ぜひ読んで!」とオススメしているタミ・シェム=トヴの『父さんの手紙はぜんぶおぼえた』(岩波書店/2100円+税)は、翻訳者の母袋夏生さんに朗読会をしていただいたりと随分積極的にご紹介してきましたが、その作者の邦訳本第2作目が先日刊行されました。『ぼくたちに翼があったころ コルチャック先生と107人の子どもたち』(樋口範子訳/福音館書店/1700円+税)です。
ヤヌシュ・コルチャックと言えば、子どもの権利を訴えた人であり、「孤児たちの家」を運営して子どもたちと一緒に強制収容所で亡くなった人として知られていますが、この物語はナチスの時代やその悲惨な最期を描いたものではありません。その前の「孤児たちの家」で暮らす子どもたちの、光り輝く時代を取り上げた大変感動的な物語です。著者のタミ・シェム=トヴがあとがきに「わたしは長い間ずっと、コルチャック先生の物語を書きたいと願っていました。―(中略)―ありのままの子どもの尊厳を認め、その感性を育てるために、自らの一生を教育にささげた人の物語を書きたかったのです。」と書いていますが、このような人がいたということに読者は希望を見出すに違いありません。