otto
くろみみくんが目を潤ませながら夢中で読んでいるのは『銀のうでのオットー』です!童話館出版から先日再版されました…嬉しい!!一番最初は学研から出ていて、その後偕成社文庫に入って、どちらも品切れになってしまい「どうにかして復刊されないものか」と思っていましたが、今回童話館出版が改めて出しなおしてくれました。英断に感謝です(涙)。『ロビン・フッドのゆかいな冒険』のハワード・パイルが書いた中世ドイツの物語で、流血や裏切りが日常茶飯事という争いに満ちた日々の中で、争いを好まないひとりの少年がどのように生きて周囲を変えたかが、感動的に描かれます。憎しみの心と、愛―ひとりの人間が、同時に別な対象に向けて持ちうる正反対の感情が何をもたらすのか。子どもにも十分わかる物語です。訳者の渡辺茂男さんは「原作の持つ迫力と感動、そして格調高い文章を、少しもそこなわず日本語に生かそうと努力しましたが、原作が、あまりにもりっぱなために、私のつたない筆が、どれほどこの目的を達したか心配です」とあとがきに書かれていますが、渡辺さんの渾身の翻訳も素晴らしく、一気に中世の世界に引き込まれます。子どもだけでなく、ぜひ大人の方にも読んでいただきたい1冊です。