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『クリスマスの小屋 アイルランドの妖精のおはなし』
ルース・ソーヤー 再話/上條由美子 訳/岸野衣里子 画
福音館書店 刊
2020年10月 発行
本体1,500円+税
61ページ
対象:小学校高学年以上

人生の悲しみと喜びと切なさと・・・

昔々、アイルランドにオーナという娘がいました。針仕事も料理も上手で、気立ても器量も村一番のオーナでしたが、「流れ者のいかけ屋」の捨て子ということで村の若者たちに相手にされません。それでもオーナは小屋から小屋を巡っては困っている村人たちを助けていました。
オーナの夢は、やがて自分の小屋を持つこと。しかし、その夢が叶うことなくオーナは年を重ねていきます。やがて村を大凶作が襲い、すっかり老いたオーナを村人たちは見捨てます。それでもなお村人たちの幸せを祈るオーナ……。そんなオーナに妖精たちがクリスマスの魔法をかけます。

「人生の悲しみと喜び」―普段はそんなことを思うことなく慌ただしく毎日を過ごしている私ですが、物語の最後のページを閉じたとき、溢れる切なさと温かさが心の中にこみ上げて、現実の今に戻ることができませんでした。
稀代のストーリーテラーであるルース・ソーヤーが紡ぐ言葉に、美しく柔らかな挿絵が物語を豊かに彩ります。
心がざわざわと騒ぐ今年のクリスマスだからこそ、静かな夜にゆったり紅茶を飲みながら、クリスマスの妖精の魔法にもう一度かかろうと思います。 (く)

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