ベスト👍 フィクション
『秘密のノート』
ジョー・コットリル 作
杉田七重 訳
小学館 刊
2020年6月 発行
本体1,500円+税
301ページ
対象:中学生以上

「完璧な表現だ。お嬢さん、きみはまるで詩人だ」

アンジェリカ(通称ジェリー)は11歳の女の子。モノマネが得意でクラスの友だちを笑わせてばかりのお調子者です。
体格が良くて男子顔負けにサッカーもうまい彼女はクラスの人気者ですが、誰にも言えない悩みを詩にして、こっそり「秘密のノート」に綴っています。
学校ではみんなに嫌われないように精一杯自分を装うジェリーの本当の思いに気づいた母親の恋人・音楽家のレノンは、学校で開かれるタレントコンテストで、彼女の詩を歌にして全校生徒の前で披露するようにすすめるのですが……。

学校生活をうまく乗り切るための方法として、どんなことにも傷つかないフリをしながら、時には自虐的な冗談も飛ばし続けるジェリー。
ピエロの役を降りたいと心の底では願いながらその勇気が出せないでいたジェリーの背中を押してくれたのは、出会って間もないレノンでした。彼はジェリーの中の詩人の魂を見出しただけでなく、自分自身の行動によって「本当の自分をさらけ出すこと」の力を身をもって示してくれたのです。

人を笑顔にする“笑い”も大切、でも“笑い”に紛れて自分の本当の気持ちを隠すことはしないと決めたジェリーは、素敵な大人に確実に一歩近づいたように思います。 (か)

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