『死って、なんだろう?』

『死って、なんだろう? 子どもたちからの38の質問』
エレン・ダシー/アンナ・フアン・カンタベッラ 作
アンドレア・アンティノーリ 絵
小宮由 訳
創元社 刊
2026年4月 発行
2750円(税込)
144ページ
分類:ノンフィクション
対象:小学校中学年以上

世界中の子どもたちからの「死」のギモンにこたえます!

子どもたちは“死”に対してとても強い興味があります。それは世界中どの国の子どもでも同じです。しかし「死とは何か?」に的確に答えられる大人はめったにいません。そのため「子どもはそんなことを考えなくていいのだ」と言ってごまかし、その質問自体を封じてしまうことはないでしょうか。この本では子どもたちの問いに真正面から向き合い、わからないことも含めてできる限り正直に、ユーモアを込めて答えています。まずはその姿勢が素晴らしいと感じました。

著者は子どもの哲学の研究者と社会文化人類学者の二人。子どもたちとの対話(ワークショップ)を通して、多くの子どもが自由に、また深く死について考えていることを知った彼女たちは、子どもからの質問に答える形で死について語り合うための本を作ろうと思い立ちます。そして世界中の子どもから集まった多くの質問(これは本の前と後ろの見返しにすべて掲載されています)を分類し、絞り込んで、38の項目にまとめました。その中には、子どもらしい面白い視点(「死ぬときは、体じゅうがいっぺんに死んじゃうの?」)や、大人は端から考えてもみないこと(「どうして、亡くなると「安らかにねむれ」っていうの?「たのしくねむれ」じゃ、だめなの?」)や、誰もが一度は考えたことがあるけれど、もう考えることを止めてしまったような質問(「死んだら、どこへいくの?」「どうして、死って。こわいんですか?」)があり、これらの質問はみな「子どもたちの、死についてのあらゆる形の興味、好奇心、不安の代表」なのだと著者は言います。子どもたちの素朴で深い質問とそれに対する答えを読むと、死を考えることはつまり、自分の人生をどう生きるかについて考えることなのだと気付かされます。誰もが納得できる正解のない問いだからこそ、自分なりの答えに辿り着くことが大切なのかもしれません。

この本は「子どもたちと死について考えたり語り合ったりするためのきっかけとして使ってほしい」という思いから作られたもので、読み方は自由です。一人で読んでも、大勢で読んでもいいし、いつ読んでもいいし、途中で読むのをやめてもいい! 質問に対する答えを読みながら、きっとさらに多くの「なぜ?」「どうして?」が生まれると思いますが、それこそが著者が希望していることなのです。
ゆるい感じのイラストは、テーマの重さを上手に和らげてくれています。本を開くのが怖い人は、まずユーモラスなイラストから拾い読みしてみてはどうでしょうか? (か)