『野鳥の食事事典』
『野鳥の食事事典』
植村慎吾・守屋年史(NPO法人バードリサーチ) 著
piro piro piccolo イラスト
山と渓谷社 刊
2025年10月20日 発行
2090円(税込)
127ページ
分類:ノンフィクション
対象:高校生から
「あの鳥は普段何を食べているのだろう?」
5月10日から5月16日までの1週間は「愛鳥週間」。昨年出版された、鳥に関するおすすめの本をご紹介します。
本書は「鳥たちの暮らしぶりのうち食事について紹介し、鳥の暮らしに関心を寄せることで日々を豊かにする鳥好き仲間を増やすための本」です。身近な場所で見られる野鳥や、ユニークな食事をする野鳥を中心に、43種の鳥の食事について教えてくれます。著者のお2人が研究員として活動をされている「NPO法人バードリサーチ」では、「食性データベース」という、採餌情報(鳥がいつどこで何を食べているのかという情報)を集め、データベースに蓄積していく企画を行っているのですが、同じ鳥でも季節や場所によって食べるものが違うため、少数の研究者が全国の色々な季節・場所で採餌記録をとっても調べきれていないそう。データベースへの登録は、あなたもできます。必須の情報は「観察した鳥の種名」と「記録した日時と場所」だけ。記録が充実すれば、鳥の暮らしへの理解が深まるだけでなく、気候変動や外来生物の増加といった環境の変化による鳥たちの暮らしぶりの変化も見えてくるかもしれないので、鳥たちの未来を守るためにも、興味がある方は鳥の食事に注目して、登録しませんか。
しかし、どのように観察をしたらよいのでしょうか。その方法は、この1冊を読むと分かります。本書では、野鳥がどこでよく見られるのかが7つの場所「住宅地」「農地」「草地」「河川湖沼」「干潟」「海岸」「森林」に分類されていて、道具を使って観察する方法はもちろん、道具を使わずに目で見るだけの観察方法などを書いてくれていたり、何を食べているのか調べる方法もレクチャーしてくれるので、気軽に観察ができます。干潟に行くときには、干潟のページを見ながら鳥を見ることで、これまでとは違う視点を得られるはず。
鳥の食事を観察して、データとして登録することが目的の人しか読めない本かというと、そうではありません。鳥が好きで「あの鳥は普段何を食べているのだろう?」と気になっている方にも、薦めたい1冊です。
たとえば、誰もが知る夏鳥のツバメは、何を食べているでしょう。正解は、空をただよう昆虫。ツバメがミツバチを食べるときには、オスバチばかりを選ぶといいます。その理由には驚かされました。
また、私たちにとっていちばん身近な鳥のスズメは、何を食べているのでしょう?コラムではスズメの食事を深堀りした「食事メニューの季節変化」が載っていて、興味深いです。私たち人間が、季節によって旬の食べ物をいただくように、スズメもシーズンごとでメニューが変わっていると思うと、より身近に感じられ、愛おしく思えます。
よく見かける鳥が何を食べているのか知るだけで距離が近くなったような気がして、種類はちがっても、同じ地球に生きる仲間だということを再認識させられます。親しみやすく、きれいなイラストも魅力的なので、ぜひご覧いただきたいです。(み)
