『すごい古典入門 レイチェル・カーソン『沈黙の春』 科学に「いのち」は見えてるの?』

『すごい古典入門 レイチェル・カーソン『沈黙の春』 科学に「いのち」は見えてるの?』
中村桂子 著
中央公論新社 刊
2026年3月10日 発行
1100円(税込)
115ページ
分類:ノンフィクション
対象:高校生から

科学が暴走する怖さに気づく カーソン入門にして重大な問題提起

JT生命誌研究館名誉館長である著者によるカーソンの入門書。
『沈黙の春』は、さほど読みにくい本ではないと思うけど、輪郭をつかんでから読むほうが読みやすいってことがあります。まさにそれにふさわしい1冊です。『沈黙の春』を読んだことがあっても、本書を読んでまた読み返すのもいいな、と思います。

1950年代のアメリカで安く便利な農薬・殺虫剤として普及されていたDDTに代表される薬品が生命を危機にさらし、自然を壊すことを指摘したカーソン。まだ化学薬品の危険性について認識されていない時代にデータ調査のもと、指摘し、警鐘を鳴らしたのです。カーソンの指摘は現代に生きるわたしたちには正しいことがわかります。でも、当時は『沈黙の春』の内容のみならず、カーソン自身も批判、攻撃されたといいます。
「第1章:カーソンってどんな人?」「第2章:『沈黙の春』の持つ大きな意味」「第3章:カーソンに学び、更に進むには」「終章:「本来の道」を求めて」の構成。
カーソンについて知ることができるとともに、著者の考えや思いも伝わってきます。それがとてもいい!

また巻末には「次に読みたい本」として、何冊かの本を紹介しています。さらに深く知ることができるでしょう。

今年になって創刊された新しい叢書の1冊。ほかに宇野重規『ルソー『社会契約論』』、戸谷洋志『アーレント『人間の条件』』、古田徹也『ウィトゲンシュタイン『論理的哲学論考』の基本』があります。どれも100ページほどにまとめられていて、まさに入門にほどよいかんじです。
今後のラインナップにも期待です。9月以降に第2期シリーズがスタートするみたい。高校の図書館には蔵書してほしいと思いました。 (す)