『もしかしてキセキ』
『もしかしてキセキ』
なかがわちひろ 作
のら書店 刊
2026年4月 発行
1650円(税込)
62ページ
分類:フィクション
対象:小学校低学年から
心のまんなか めがけて とどけてみたら……
『すてきなひとりぼっち』『ぼくは、ういてる。』『ちょっとだけ ともだち』と続いてきた一平くんのお話シリーズの第4弾。
友だちとワイワイやるのが苦手でひとりが好きな一平くんのクラスに、メキシコから転校生のカルロスくんがやってきます。カルロスくんは日本語が話せず言葉が通じないため、クラスメイトは段々話しかけるのをやめてしまうのですが、一平くんは言葉が通じないながらもなんとなく話しているうちに、ちょっとずつカルロスくんと親しくなっていきました。ところが、ようやく言葉も覚えてクラスに馴染んできたところで、カルロスくんは今度はフランスに行くことになってしまいます。別れ際、一平くんはありったけの思いを込めてカルロスくんに言葉をかけました――。
同じ言葉を話す人同士でも、言いたいことがわからないことがある。一つ一つの「言葉」がわかったとしても、意味が分からないこともある。世界には七千もの言葉があるのだから、話が通じるなんて奇跡じゃないか―― 一平くんの発見に、私たちもハッとさせられます。日本語が通じなかった時、どうして一平くんとカルロスくんは通じ合うことができたのか。それを考えると、言葉というのはあくまで道具であって、伝えたい思いが言葉を本物にするのだということに気づかされます。一平くんが教えてくれた素晴らしいキセキをかみしめながら、ちゃんと人に届く言葉を使いたいと私も思いました。
心の中に一平くん的なものを持っている子どもたちに、「それでいいんだよ」という思いを込めて手渡してあげたいシリーズです。(か)
【お知らせ】『ちょっとだけともだち』は2026年の産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞しました。
