『お金儲けしない経済学 ーー食べものから考える〈共〉(コモン)のしくみ』
『お金儲けしない経済学 ーー食べものから考える〈共〉(コモン)のしくみ』
平賀緑 著
岩波書店 刊
2026年4月17日 発行
1089円(税込)
220ページ
分類:ノンフィクション
対象:高校生から
食べものから「資本主義」を解き明かす!
2021年刊『食べものから学ぶ世界史』、2024年刊『食べものから学ぶ現代社会』に続く1冊。ひとまず、これにて「食べものから学ぶ」シリーズは完結とのことです。
簡単に「わかった!」とは言いにくいけれども、著者の言いたいことはよく伝わってくるものだと思います。
従来の経済学が何を見落としてきたのかを考え直します。
第1章の「家事はなぜ無償なのか」は、特に世の多くの女性たちに響くんじゃないかなあ(あんまり女性とか男性とかって言い方は好きじゃないけれど)。経済学者アダム・スミスは生涯独身だったそうで、その身の回りの世話をしていたのは母親だったとか。
経済学は、経済学が語る市場を成り立たせるために必須な、主に女性の無償労働によるもう一つの経済を、しれっと無視して忘れて経済理論を発展させてきたというのです。
資本主義経済は家事を女性に押しつけて経済活動を支えさせておきながら、その労働に金銭的価値を認めずタダだからと見下していると(!)、『主婦である私がマルクスの「資本論」を読んだら』の著者チョン・アウンは家事労働と資本主義を読み解いているとのこと(ここで俄然、『主婦である~』を読みたくなりました。読んだことのある方、いらっしゃいますか?)。
章の間にはさまれる「コラム」もちょっと息抜きになる文章で、興味深く読みました。
「序章・お金儲けしない経済学とは?」「1章・家事はなぜ無償なのか」「2章・コモンズとしての食/食の再コモンズ化」「3章・宇沢弘文の社会的共通資本から食を考える」「4章・「お金」の仕組みを考え直す」「5章・「取引」の仕組みを考え直す」「6章・協同社会と社会的連帯経済」「終章・改めて、人も自然も壊さない経済とは」の章立て。
参考文献もいろいろ記されているので、さらに深く読み進めることもできます。
時に専門用語が難しかったりしますが、論旨はわかりやすいし、とにかく文章が読みやすいです。なので、今の世の中に少しでも疑問を持っている人にひとまず、手にしてみてほしい!
全てに賛同とならなくても、思考のヒントをもらえるはず。考えることが、考え続けることが大事だと思わされます。 (す)
