【たくさんのふしぎ40th】🤔 『世界の納豆をめぐる探検』

【たくさんのふしぎ40th】🤔 (2022年2月号)
『世界の納豆をめぐる探検』
高野秀行 文・写真
スケラッコ 絵
福音館書店 刊
2024年10月10日 発行
1,430円(税込)
48ページ

納豆は世界中にある? アジアやアフリカ各国の納豆を紹介。

「謎」や「未知」を求めて世界の辺境の地を旅する探検家の高野秀行さんが見つけた「未知の大陸」=納豆。その知られざる世界を7年間にわたって歩き調べつくして作られたのが本書です。あまりにも身近すぎて研究の対象とされてこなかった納豆ですが、実はアジア・アフリカに広く存在する伝統食なのです。

納豆づくりは簡単かつ難しいもの。蒸した大豆を稲わらに包んで発酵させればよいのですが、出来上がりにはかなりの差が……おいしく作るには温度調整が結構難しいのです。この納豆、今ではご飯ののせて食べるのが一般的ですが、昔は納豆汁として食べるものだったなど、食べ方も時代によって変わってきています。そもそも納豆の起源はどこにあるのか――そんな疑問から著者はアジアやアフリカの納豆をめぐる旅に出かけます。

ミャンマーでは、つぶして団子状にしたものを平たく伸ばして天日干しにした「納豆せんべい」が主流。ネパールでは粒のまま干したものを、食べる時にお湯につけて戻します。中国の少数民族であるミャオ族もガオヨウと呼ばれる納豆を食べています。いずれも生食というよりは、味付けの一つとして使われているようです。お隣の韓国では納豆汁(チョングッチャン)として食べるだけでなく、サプリメントや美容グッズなど使い方も豊富! アジアの納豆は大豆ですが、アフリカではパルキアという木の豆や、バオバブの種が納豆になります。納豆菌というのは本当に、世界中どこにでもいるのですね!

納豆が作られ、食べられている土地はいずれも、あまり豊かではないところです。肉や魚からタンパク質を摂ることができない土地では、納豆はまさに命の基であり、おいしい食事の基なのです。どの国の人も「自分たちの納豆が一番おいしい」と愛着と誇りを持っています。納豆を探求しながら世界の珍しい食事を味わい、その国の人たちと親しくなる――高野さんの好奇心の向けられた先は、愛する納豆のみならず世界中の様々な地域でたくましく生きる人々にあることを感じさせる、ゆかいな作品です。(か)