【たくさんのふしぎ40th】🤔 『ぼくらの天神まつり』(品切れ本)

【たくさんのふしぎ40th】🤔 (1989年3月号)
『ぼくらの天神まつり』(品切れ本)
田沼武能 文・写真
福音館書店 刊
1992年10月1日 発行
1430円(税込)
40ページ

山あいの集落に伝わる 子どもたちによる「天神まつり」の記録写真絵本

毎年春になると、岐阜県 上宝村本郷では、子どもたちだけのお祭り「天神まつり」が行われます。奴や山車(だし)の行列を作って村はずれの天神さままでお参りをし、獅子舞を奉納するお祭りです。小学校1年生から中学3年生までの子どもたちが参加する「子ども会(少年団)」が、大人の助けを借りず、大きい子を中心に自分たちだけでお祭りをやり遂げます。団長さんは中学生。話し合いで民主的に決められ、役の割り振り、舞やお囃子の練習、山車作り、お金の管理に至るまで、すべて子どもたちだけで行うのです。春とはいっても練習が始まるのは3月のはじめ。周りの山々にはまだ雪が残っていて、吹く風が冷たい中、約1ヶ月、ほぼ毎日練習を重ねて準備をしていきます。

神社での奉納舞いの後、二日間かけて村の1軒1軒を門付けして得たハナ(お祭りの寄付金、お祝い金)は、「子ども会」の1年間の活動資金になります。お祭りに参加した子どもたちには、ここから“お給金”も出るそうです。「子どもたちだけで」という高揚感や、大切なことを任されて背筋が伸びる感じが、写真の中の子どもたちの表情にいきいきと表れています。

《この地方に天神まつりのはやしの音が聞こえると、農家の人は、田おこしなどの農作業をはじをめる。天神まつりは、村の人びとに「春がきたことを知らせる」まつりでもあるのだ。》

そんな「春がきたことを知らせる」お祭りを終える毎に、子どもたちはちょっとずつ成長していくのです。

なお、この本が最初に雑誌として出版されたのは1989年。この頃はまだ村にはたくさんの子どもたちがいて、にぎやかに活躍している様子が伝わってきます。現在(2026年3月)、この村の「天神まつり」はどうなっているのでしょうか。参加する子どもたちは少なかったとしても、元気に続けてくれていたら、と願います。(ま)