出版部の刊行物
キリストは再び十字架にかけられる
3,850円 税込 (本体価格:3,500円)
出版社:教文館
判型:四六判
頁数:772
ISBN:978-4-7642-9974-0
発売年月:
内容詳細
池澤夏樹 氏 推薦!
他者を愛することができるのか。
戦火を逃れて到来した難民たちをどう扱うかをめぐり、救済と排除の論理がぶつかり、
献身と我欲・権力欲が衝突する。
これはそのままたった今の物語である。
──カザンザキス没後60周年記念出版!──
キリストの受難をモチーフに、架空のギリシア人村における波瀾に満ちた日常を描いた、ノーベル文学賞候補にも挙げられた文豪が紡ぎ出す人間群像劇。1948年の発表後、多言語で繰り返し翻訳書が刊行され、映画化(『宿命』1957年)、オペラ化(『ギリシア受難劇』1961年)、連続TVドラマ化(1975〜76年)もされた、半世紀を経ても世界中で愛される現代ギリシア文学の名作。
◎作品紹介
アナトリア半島にあるギリシア人の小さな村リコブリシに、ある日トルコ軍の迫害を受けた難民たちが流れ込む。以来、難民たちと村人たちの間には軋轢が生じ、次々と事件が勃発する……。
20世紀初頭のオスマン帝国治下のギリシア人村で復活大祭から降誕祭までに起こる一連の事件を描いた物語。政治的・社会的・宗教的主題を内包する重厚な人間ドラマが、牧歌的な美しい自然描写と共に語られ、全篇に横溢する著者のユーモアを味わえる、現代ギリシア文学の代表的小説。
◎推薦のことば 池澤夏樹
カザンザキスは巧妙な小説を考えた。
場所は二十世紀初頭のアナトリアの村。イエス・キリストの裁判から十字架の上の死までを芝居として素人たちが演じる。その受難劇の内容に現実が少しずつ重なってゆく。イエス、使徒ペトロ、ヨハネ、ヤコブに扮する若者たちの性格がそれぞれの役の色に染まる一方で、村の長老たちはイエスを死に至らしめた古代ユダヤ人たちの悪を体現するようになる。
更に、戦火を逃れて到来した難民たちをどう扱うか、という問題が村人たちに突きつけられる。救済と排除の論理がぶつかり、献身と我欲・権力欲が衝突する。つまりこれはそのままたった今の物語である。
やはりイエスは死ぬしかなかったのか? だとしたらその死の意味は誰がどう担うのか? たくさんの登場人物の数か月に亘る発言と行動で織られたプロットを通じて、他者を愛することができるかという、人間にとって最も重い倫理の課題が問われる。
◎著者紹介
ニコス・カザンザキス(Νίκος Καζαντζάκης)
ギリシアの小説家、詩人、劇作家、翻訳家、政治家。
1883年クレタ島のイラクリオンに生まれる。アテネ大学で法学を、パリ・ソルボンヌ大学で哲学を学ぶ。キリスト教、仏教、共産主義などの思想を遍歴、生涯を通じて人間精神の真の自由を追求した。1948年以降フランス在住。1957年ドイツ・フライブルクで客死。3度にわたりノーベル文学賞候補に挙げられた、20世紀ギリシアを代表する文学者。
著書に、叙事詩『オデュッセイア』のほか、小説では共に映画化された『その男ゾルバ』(秋山健訳)と『キリスト最後のこころみ』(児玉操訳、以上恒文社)をはじめ、『石の庭』(清水茂訳)、『兄弟殺し』(井上登訳、以上読売新聞社)、『アシジの貧者』(清水茂訳、みすず書房)などがある。
◎訳者紹介
藤下幸子(ふじした・さちこ)
京都市立芸術大学日本画科卒業。ギリシア国立テサロニキ大学「留学生のためのギリシア語コース」修了。ギリシア国立アテネ美術大学モザイク科修了。
現在、大阪市で現代ギリシア語教室「エリニカ」主宰。
田島容子(たじま・ようこ)
大阪大学文学部西洋史学科卒業(古代ギリシア史専攻)。同聴講生(古典ギリシア語)。百合学院高等学校非常勤講師(社会科歴史担当)。
現代ギリシア語教室「エリニカ」講座受講。
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