「ゲド戦記」のシリーズ第1巻『影との戦い』から50年ーー。
作者アーシュラ・K.ル=グウィンの没後に公表された「ゲド戦記」の最後のエピソード「火明かり」を含む短編集が、先日、岩波書店から岩波少年文庫の1冊として刊行されました。
よもやル=グウィンに未邦訳の作品があろうとは、それも「ゲド戦記」にまつわるストーリーとは……。二重の驚きとともに刊行を今か今かと待ちわびて、ついにその日がやってきました。

こちらが、その『火明かり』(岩波書店)です。
表題作のほかに「オドレンの娘」と題した短編、『夜の言葉』(岩波書店/現在品切れ)から抜粋したエッセイが3編、1992年にオックスフォード大学で開かれた講演「「ゲド戦記」を”生きなおす”」などが収録されています。どれもページ数はさほど多くないものの、そこで語られることばのなんと奥行きのあることか。
「火明かり」は言わずもがなゲドを描いたお話です。しかし行間から立ち上る物語の気配は、心にともしびを掲げて歩くル=グウィン本人のよう。それは、終焉を迎えたル=グウィンが自らの人生を振り返ってしたためたものであることを連想させていっそう胸を打ちます。

刊行を記念したミニフェアでは『火明かり』のほかに、少年文庫版7冊セットの美装ケース(特製しおり付き)も販売しています。「ゲド戦記」は内容からもシリーズの巻数からも非常にボリュームのある作品ですが、この世界のどこかに、時を同じくして”本”という舟でこの物語に一緒に漕ぎだしている人がいると想像すると、読破への長い旅路も勇気づけられるのではないでしょうか。

新刊を読む前にまずはシリーズを再読したいという方、そして今回初めてこの物語の存在を知ったという方には美装ケースのセットをおすすめします!

そのほかにも「ゲド戦記」の函入りハードカバー版(岩波書店)、数々の賞を受賞したSF小説『闇の左手』(早川書房/1,100円)、『指輪物語』などの子どもの文学を読み解きながらその本質に迫ったエッセイ『いまファンタジーにできること』(河出書房新社/1,089円)などル=グウィンの作品を多数取り揃えています。

中でも『火明かり』で解説を書かれている作家・中島京子さんのエッセイ『ワンダーランドに卒業はない』(世界思想社)は、子ども時代から『クマのプーさん』や『秘密の花園』、『小さなバイキングビッケ』といった名作に親しんでこられた中島さんが「ゲド戦記」についても鋭い視点で綴られた1冊。ぜひあわせてお読みください。

■『火明かり ゲド戦記 別冊』
アーシュラ・K.ル=グウィン 作
井上 里・清水真砂子・山田和子・青木由紀子・室住信子 訳
岩波書店 990円

■岩波少年文庫 「ゲド戦記」(全7冊)美装ケース
アーシュラ・K.ル=グウィン 作 清水真砂子ほか訳
岩波書店 6,732円

■『ワンダーランドに卒業はない』
中島京子 著
世界思想社 1,760円

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