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昨年に「素晴らしく美しい本!」としてご紹介した、タムラ堂の『夜の木』―残念ながら部数限定制作だったため、ナルニア国で販売したものはあっという間に完売となってしまいました。その後、冬にはレミイ・シャーリップ(『よかったね、ネッドくん』の作者)の『雪がふっている』をご紹介して、これも多くの絵本&アートファンの方たちに喜んでいただきました。その、タムラ堂の最新絵本をご紹介します。
※ちなみに写真の左の白いちいさな本が『雪がふっている』です。この本については過去のナルニア国日記をご覧ください。(現在5冊入荷中)

うっとりするほど、きれいな本

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『世界のはじまり』は『夜の木』と同じくインドのゴンド民族の神話世界を描いたもので、すべて手づくり(手すきの紙を使ったシルクスクリーン印刷、製本も手かがりで表紙は手張り!!)というのも同じです。絵の素晴らしさは言うまでもなく、独特の色遣いと表現方法は見る人を神話の世界に引き込んでいきます。その上この絵に添えられたテキストが、わずか数行の短い言葉にも関わらず壮大な時間と空間の広がりを読む人の中に感じさせるところが素晴らしいのです。
ある特定の民族の神話(この場合はゴンド族です)が人類に共通の普遍的な要素を持っているという事実は、人間は深いところで繋がっているのだと信じる力にもなりますね。

写真の絵のタイトルは「時」―二つの相反する時によって、世界は成り立っているという哲学的な言葉が印象的です。この本のケースに開けられた卵型の窓、ここに絵を当てはめると、また不思議な世界が見えてくる気がします…。

『世界のはじまり』バッジュ・シャーム&ギーター・ヴォルフ著/青木恵都訳/タムラ堂 3600円+税