shackletons-journey
あなたは偉大な冒険家アーネスト・シャクルトンを知っていますか?
シャクルトンはエンデュアランス(不屈の精神)号で南極探検に挑みますが、流氷に閉じ込められて船は沈没してしまいます――氷の上で孤立無援となった28人の隊員たちが、いかにして生還を果たしたかを書いた本は、大人向けの作品から小学校高学年以上のノンフィクション読み物まで色々なものが出版されています。ナルニア国でも『エンデュアランス号大漂流』(E.C.キメル著/千葉茂樹訳/あすなろ書房/1400円+税)や、『そして、奇跡は起こった!』(J.アームストロング著/灰島かり訳/評論社/1600円+税)などをご紹介してきましたが、この度大変面白い絵本が出版されました!『シャクルトンの大漂流』です。
見返しは氷に覆われた南極の海を上から見下ろしたような絵で、ここからすでに困難な冒険が示唆されるようなです。出発するまでの様々な準備から、南極探検船独特の仕組み、南極での冒険の顛末が細かなイラストで描かれます。かと思うと、劇的な場面は見開きページ一杯に描くという大胆さ!200ページの物語を読んだときと同じような、スリルとわくわく感の味わえるとても魅力的な絵本です。70ページを超える、絵本としてはかなり長めの作品ですが、この厳しい自然との命がけの闘いに勝利した勇敢な男たちの物語を、秋の夜長にじっくりとお楽しみください。

『シャクルトンの大漂流』ウィリアム・グリル作/千葉茂樹訳/岩波書店 2000円+税