hurumori

岩波少年文庫の7月の新刊は、イタリアの作家ブッツァーティの『古森のひみつ』です。初め、新刊案内をみても名前に覚えがなく、「全然知らない作家だなぁ…、本邦初訳!?」などと思っていたのですが、とんでもない!実はすでに日本に紹介されている子どもの本が1冊ありました。福音館書店から1987年に単行本として出版され、2008年には福音館文庫に入った『シチリアを征服したクマ王国の物語』と同じ作家だったのです!ビックリ!!

前作は本人の挿絵でなんともいえないユーモアと悲哀(!)に満ちた作品でしたが、今回の本はまた様子が違うようです。翻訳者の川端則子さんによると、ブッツァーティの作品は「不思議な味わいをたたえた幻想的なスタイルで書かれ、そのなかに怖さ、寂しさ、哀しみ、あたたかさ、そして独特の透きとおった美しさがあふれていると思います」とのこと。物語を読むことの魅力は、今いるこことは違う世界に私たちを連れて行ってくれることです。梅雨のうっとうしい時期、美しいイタリアの古い森に心を飛ばしてみてはいかがでしょうか。

『古森のひみつ』ディーノ・ブッツァーティ作/川端則子訳/岩波少年文庫 700円+税
『シチリアを征服したクマ王国の物語』ディーノ・ブッツァーティ作/天沢退二郎・増山暁子訳/福音館文庫 650円+税