ベスト👍『フラミンゴボーイ』  フィクション
マイケル・モーパーゴ 作
杉田七重 訳
小学館 刊
2019年10月 発行
本体1,500円+税
302ページ
対象:小学校高学年以上

クリーンヒット🥎  フィクション
『アーニャは、きっと来る』
マイケル・モーパーゴ 作
佐藤見果夢 訳
評論社 刊 
2020年3月 発行
本体1,400円+税
208ページ
対象:小学校高学年以上

フラミンゴの飛翔の下で
2019年10月に出たモーパーゴの『フラミンゴ・ボーイ』。去年の新刊メルマガでご紹介できなかった【埋もれさせてしまうにはもったいない本】の1冊です!

第二次世界大戦下、ロマの少女・ケジアと発達障害を持つロレンゾはフラミンゴの群れに見守られながら友情を育んでいきます。のどかな南仏の片田舎の村にもやがてナチスの影が忍び寄り、ロマであるが故に、ケジアの両親は収容所に連行されてしまいます……。

作者は「戦争」をテーマにした作品を次々に手掛けていますが、マンネリ化することなく読者を常に新たな視点に連れていく筆の力には驚くばかりです。
帯に「魂をふるわせる物語」とあり、「そんなに簡単に感動しないぞ」と心に固く誓いましたが、読み終えた感想は、悔しいけれど、まさにそれ。
今年の課題図書にも選ばれているので、目にする機会が多くなるでしょう。


大逃亡の行方は?
せっかくですので、モーパーゴの本をもう1冊ご紹介します。
第二次大戦中、ピレネー山脈の麓の小さな村に一人の羊飼いの少年ジョーがいました。
ある日ジョーはひょんなことから、村の変わり者のおばあさんの家にユダヤ人の子どもたちが12人隠れていることを知ります。ドイツ兵が駐留している中、やがて村人たちは12人の子どもたちをスペイン国境まで逃がすために、村を挙げて大作戦を決行します。

ネタバレになるので結末は言いません。戦争は誰も幸せにはしない、けれども人はどんな状況の中からも希望を見出す、そんなことをあらためて思いました。 (く)