聖書の選び方

講座3時限目

ざっくり概論!聖書の構成について

聖書の「旧約」「新約」ってどういう意味?

聖書は、旧約聖書、新約聖書の2つの部分から成り立っています。旧約・新約の「約」とは、神様との約束、つまり「契約」という意味です。キリスト教はユダヤ教を母胎として誕生しました。

キリスト教では、イエス・キリスト以前の「古い契約」を記した書物を「旧約聖書」と呼び、イエス・キリストの教えと、その教えを信じる人たちが書き残した書物を「新しい契約」として「新約聖書」と呼んでいます。「旧約」も「新約」も神様と人間との大事な契約ですので、旧約聖書を聖典から除いたりせず、旧約聖書と新約聖書の両方を「聖典」としているのはこのような理由からなのです。

1冊の聖書に、「旧約」と「新約」の両方がふくまれている理由をおわかりいただけましたでしょうか。それ以外に「旧約続編付き」が含まれているちょっと分厚い聖書があります。それぞれの構成を見ていきましょう。

旧約聖書(創世記~マラキ書)

旧約聖書は、ほとんどがヘブライ語で書かれた39の文書が収められています。
最初にあるのは「創世記」「出エジプト記」「レビ記」「民数記」「申命記」です。ここには、天地創造、ノアの方舟と洪水などの伝説や、預言者モーセの物語、イスラエル民族の成り立ちや律法などが、イスラエルの民の語り継ぐべき〈教え〉としてまとめられています。その次が「預言書」です。ダビデやソロモンなど王の話や、預言者たちの言葉と活動の記録、イスラエルの苦難の歴史が書き記されています。そして、150の祈りの歌をまとめた「詩編」や教訓書の「箴言」、知恵文学の「コへレトの言葉」など、さまざまなジャンルの文書が収録されています。

ちなみにユダヤ教にとっての聖なる書物「聖書」は、キリスト教では「旧約聖書」としている部分のみを指します。ユダヤ教の聖書は、「モーセ五書(トーラー)」、「預言者(ネビイーム)」、「諸書(ケトゥビーム)」の3つのパートに分けられ、それぞれの頭文字を合わせて「タナハ(聖書)」と呼んでいます。
信仰の書物としてだけではなく、〈古典〉として一読をおすすめします。

旧約聖書続編(トビト記~マナセの祈り)

「旧約聖書続編つき」と書かれた聖書にのみ、収められています。カトリックでは「第二正典」と位置づけられたり、聖公会では「アポクリファ(「隠されたもの」という意味)」とされたりしている13の書物がまとめられています。プロテスタントでは外典(もしくは偽典)と呼ばれ、聖書の一部とはみなされない部分です。この続編には、「ユディト記」や「スザンナ」など、西洋絵画のモチーフとなった物語が収められています。

新約聖書(マタイによる福音書~ヨハネの黙示録)

新約聖書はイエス・キリスト誕生以降に書かれた27の文書で構成されおり、すべてギリシア語で書かれました。最初にくるのはイエス・キリストの生涯を記録した4つの福音書「マタイ」「マルコ」「ルカ」「ヨハネ」です。その次に、イエスの弟子たちの活動記録「使徒言行録」。パウロをはじめとする弟子たちが書いた「書簡」、そして最後に「黙示録」が置かれています。

おわりに

聖書は、一見するとその厚さに圧倒されてしまいがちですが、こうして構成を見てみると、それぞれのパートがもつ個性が見えてきます。「旧約聖書」で歴史の重みを感じ、「旧約聖書続編」で知られざるエピソードを楽しみ、「新約聖書」でイエスの言葉に触れる。また、教派によって、どれを「正典」として用いるかが異なるという点も、キリスト教のたどった歩みを物語っています。

それぞれの背景にある歴史のうねりを感じながら読むことで、人類の古典である聖書の奥深さをより一層味わうことができます。聖書に書かれたことを知ることは、世界の歴史とともに、文学・芸術・音楽など文化を理解するための重要な鍵を握ることにほかなりません。

世界で最も読まれているベストセラーの世界を、ぜひ探索してみてください。