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児童書編集部20周年の記念新刊は、久しぶりのフィリパ・ピアスです。物語の本が出るのは『川べのちいさなモグラ紳士』(岩波書店)以来、ほぼ10年ぶりです。「物語の名手ピアスが愛したすべてのものがもりこまれた、最後の作品」と帯にあります。どんな素敵なお話なのか…『消えた犬と野原の魔法』というタイトルを聞いただけでも、不思議に心の中がざわっとする感じです。ピアスの作品は単に“おもしろい”という言葉だけでは言い尽くせない魅力があります。ドラマチックな内容でも淡々と描き、それが読み手の心に静かで忘れ難い印象を残す―また、新しいピアスの作品に出会える幸せを喜びましょう!
そして、もう1冊はこちらもファンの多い<オランダの子どもの本の女王>シュミットの愉快な短編集『カエルになったお姫さま お姫さまたちの12のお話』です。前作『パン屋のこびととハリネズミ』も、思いがけない展開で読者をビックリ楽しませる短編集でしたが、これもまたまた楽しそう!この中にカエルが出てくるお話がいくつもあるのは、オランダにはカエルが多いから…だそうですよ(オランダは、国土の4分の1が海抜ゼロメートル以下なんですって)。年末に向けて、まだまだ楽しい読書が続きそうです。
※『パン屋のこびととハリネズミ』は、翻訳者・西村由美さんのメッセージ付きサイン本を販売中です。残り3冊!

『消えた犬と野原の魔法』 フィリパ・ピアス作/ヘレン・クレイグ絵/さくまゆみこ訳/徳間書店 1800円+税
『カエルになったお姫さま』 アニー・M・G・シュミット作/西村由美訳/たちもとみちこ絵/徳間書店 1400円+税